タイガー・コネクション

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原題:洗黑錢
出演:
ドニー・イエン(甄子丹)
ロザムンド・クァン (關之琳)
ロビン・ショウ(仇雲波)
デヴィッド・ウー(吳大維)
シンシア・カーン (楊麗青)  他
監督:ユエン・ウーピン(袁和平)
1990年度作品

『弁護士のワイズ(ロビン・ショウ)は、裏では不正な金を「洗う」マネー・ロンダリングの仕事をしている。ある日、その依頼を受けた金が奪われる。金を持って逃げる男を、偶然にも刑事ドラゴン(ドニー・イェン)が目撃。追うが男は駐車場で弁護士のマンディ(ロザムンド・クァン)の車に飛び込み、追手に殺されてしまう。しかし男のカバンに金はなくマンディに疑いがかけられる。一方、マンディの同居人である弁護士ペティー(ドゥドゥ・チェン)がワイズの不正を知るが、ワイズが送り込んだ刺客によって刺殺されてしまう。さらには追っていたドラゴンまでもが巻き込まれ容疑をかけられてしまう・・・。(DVDジャケットより引用)』

本作はビデオ化されたけど、レンタル店で見かけたことはなく、かつてあった大阪の中古ビデオ店で諭吉1枚分くらいの値段で販売されてたくらい、日本で幻だった作品。DVDがスパイクから発売予定だったが中止となり、その後、パラマウントから奇跡的にDVD化された。

観る前の期待と劇終後のガッカリ感の落差がありすぎた作品だったな(汗)。脚本が杜撰すぎる。ドニーとロザムンド・クァン主演でユエン・ウーピンが監督なのにこの不出来はどうしたんだろうね?

まず、混乱したのが、ドニー演じるドラゴンが、現役刑事なのか、元刑事なのかってところ。離婚調停の会話シーンで、「刑事のどこがわるい?」というセリフや、同僚のタク刑事が事件現場に到着すると「偶然居合わせた。」と仲良く話すドニー。その後、自宅の引き出しに手錠を外す鍵を所持していたので、「ドニーは現役刑事なんだな。」という認識でいた。ところが、指名手配されたニュースでアナウンサーがドニーを”元刑事”と報じたので混乱。それまでのシーンでも、ロザムンドに「この人が犯人よ!」って言われたり、刑事のシンシア・カーンが現れた時にドニーが刑事と名乗らなかったので、変だなと思ったのよね。後々のストーリー展開を観て、ドニーは元刑事というキャラ設定だと認識したけど、元刑事なら、手錠の鍵を持ってちゃあかんだろ(笑)

なので、引用したDVDジャケットのストーリーも元刑事に修正が必要。

気絶シーンの多さも「なんだろなぁ。」って思ったな。救急車内でドニーがロザムンドに犯人と疑われたのでキレたら、タク刑事に殴られ気絶し、その後の展開で、道端に投げ出されたまま、昼から夜まで気絶しっぱなし。その間に通行人の誰かが助けるだろうに。他にも、ロザムンドが誤って鉢植えをドニーの頭にぶつけて気絶するし、ロザムンドは街灯にぶつかって気絶するし。気絶ってそんなに簡単になるもんかい?

ドゥドゥ・チェン(鄭裕玲)演じるペティーが、ワイズのマネーロンダリングの関与を知るシーン。ワイズに自分が盗み聞きしたことがバレてないんだから、そのまま隠れておけばいいのに、「聞いてしまったわ。」って現れちゃうのはダメだろ。殺されるに決まってるし。

ティーが殺された現場に居合わせたドニーとロザムンド。警察に殺人容疑で手錠をかけられるのだが、なんで1つの手錠を2人に片っぽずつかけてるんだよ。その後の逃亡展開ありきじゃないか。

無駄なシーンも多かったよな。脚本がひどいと、普段あまり気にならない部分が余計に気になってしまう(笑)。意味なくジュースをこぼしたり、ロザムンドが食べたラーメンが辛くて、ドニーの顔に噴き出したり、指名手配中のはずなのに堂々と屋台で食べて、絡んできた客と乱闘したり。さらには、ロザムンドを海に突き飛ばして溺れさせるとか、ロザムンドの顔に塩酸がかかったら実は水でしたとか、火炎瓶にライターで火をつけようとしたらロザムンドのくしゃみで消えるとか。・・・何がしたいんだろ(汗)

ジョン・サルヴィッティをドニーが日本刀でのバトルで倒した後、ラストバトルにドニーの同僚だったタク刑事が参戦するんだけど、「なんで、この人?」だったな(汗)。ここは、事件の真相を知ったシンシア・カーンがドニーと共闘するべきところでしょ。ここも刑事同士ならわかるけど、ドニーが元刑事の設定になってるから、おかしくなっちゃうんだよね。ドニーは刑事じゃないんだから、タク刑事はドニーの行動を阻止すべきなのに協力してるから訳がわからなくなる。

ドニーが両手を鎖で縛った状態でのマイケル・ウッズとのバトルは、ドニーの蹴りに相変わらず魅了されたな。ラストのドニー対ロビン・ショウのバトルに関しては、なんでトドメをロザムンドにさせてしまったのだろうか。あんなことされたら、それまでのバトルの意味がねぇじゃん(笑)

ドニーのファイトシーンは、それなりに見応えはあったけど、脚本がどうしようもなかったからテンションがいまいち上がらなかったな。ドニーのファイトシーンだけ観てたなら評価あがったかも(笑)

↓ドニー対ロビン・ショウのバトルがシンシア対ロビン・ショウのバトルに差し替えられたバージョン。このバージョンはバージョンでラストバトルがドニーじゃないのが不満。このバージョンが撮影できたなら、シンシアとドニーの共闘だって可能だったはず。ほんとにいろいろと残念な作品だったな。