ロボハンター 霊幻暗黒團大戦争

おすすめランク 
原題:ROBO VAMPIRE
出演
ハリー・マイルズ
ジョー・ブラウン
スン・チェン(孫建)
チアン・タオ(江島)
スン・クォックミン(孫國明)
監督:ジョー・リヴィングストーン
1988年度作品

本作の移行作業をするにあたり、移行前のサイトで、かつてジャンル分けし、秘かに消えていた「厳選!E級電影」を復活いたします!(わーい!わーい!(笑))。ちなみに、ボクが“おすすめランクE”に認定した作品の大半は、「なんじゃい、これは!」と腹が立つところはあるのだが、突っ込みどころ満載で“ある意味”おもしろく、 一度は見てほしい作品なのである。

この作品は今までに5回は観ている作品で、観るたびに「だからなんやねん・・。」と幾度も “一人突っ込み”をしてしまったE級トップクラスの作品!!

製作会社は“フィルマーク・インターナショナル”。製作はトーマス・タン。この作品がE級以外の何物でもないというのが これだけですでにわかる(笑)。

ストーリーの前に、前提として、フィルマーク社が製作した作品の多くは、いわゆるニコイチ作品と呼ばれるもの。既存の作品を二束三文で買い付け、ツギハギして編集し、セリフも変えてしまい、新たなシーンを追加して1本の作品にしてしまう超低予算の代物なのだ。

ではぼちぼちストーリーを・・・。

麻薬取締官が容疑者らしき男を連行している場面からはじまる。すると、棺おけからヘビがでてきて、それを取締官は むっちゃくちゃ怖がり、銃で撃ちまくる。その後、キョンシーが出現。キョンシーは血を吸うだけのはずが、取締官の首を喰いちぎり、 ムシャムシャ食べながら「うがーー!」と叫んで、この作品のタイトル「ROBO VAMPIRE」が表示される。

場面変わって、ある組織の本部。ボスに「麻薬取締官のトムを始末するのだ。」と言われ、「どうしたらいいの?」と聞く、 自分で考えることができないバカな白人部下。 そういう部下を持っているので、ボスもすでに方法を考えていて、いろいろ選択肢があったはずなのだが 、通常は思いもつかないはずの“キョンシー使いの道士を雇う”という選択をする。(←ボスもバカ!)

場面変わって、棺に麻薬を隠す中国人部下たち。すると、キョンシーが襲いかかり、なんの迫力もない格闘シーンがしばしはじまる。すると、ボスが雇ったキョンシー使いの道士が登場し、事態は収拾する。キョンシー使いの道士もかなりの「おぬしもワルよのう・・・」 状態で麻薬にも詳しいらしく、隠していた麻薬がただの米の粉だと部下たちに告げる。それを知ったボスは取引現場に自ら行き、 取引相手に「ヤクの密売はやめた。死体の密売をするわ。」と言って、相手も「勝手にしろ!」といい、去っていく。(←「勝手にしろ!」 で済んでしまう問題なのか??)

場面変わって、ここはかなり問題のシーン。マジで麻酔を打ってピクピク痙攣している牛のおなかをナイフで切り開き、そこに 麻薬をつめるというシーン。このシーンがあとで伏線にもなってなく、何をしたかったのかわからん。って、こんな 作品のために牛にそんな残酷なことすんなよ・・・。

またまた場面変わって、道士が白人部下にキョンシーの威力を見せるシーン。魔よけってことで、道士はニンニクのネックレスを 部下にわたす(効果あるんか?)。すると、いきなり白人の女性幽霊が現れ、道士に「よくも私の恋人を甦らそうとしたわね。 あの世で一緒に暮らせると思ったのに。ジャマしやがって。復讐するわ。」と言って襲いかかる(知らんわ・・・)。道士は かなわなかったのでキョンシーを甦らせると、女性幽霊がそのキョンシーに「ピーター、私のこと覚えてる? クリスティーンよ。愛してるわ。」と言うが、キョンシーはわからず、しばし格闘。だが、女性幽霊が倒れた時、 太ももからチラっと見えたイレズミを見たキョンシーは「ウガ・・・」と呟き、クリスティーンのことを思い出すのであった 。二人を見た白人部下は道士にまじめな顔で「結婚させてやろう。そのかわり我々の部下に。」と言い、結婚式の準備 がされるのであった。(ほんと、知らんわ・・・)(注:以下、このキョンシーを“ピーターキョンシー”とします(笑))

この“ピーターキョンシー”、ドンキとかのパーティーコーナーで売ってそうなゴリラのマスクをしてキョンシー の衣装着せてるだけ。頭の中で“ゴリラキョンシー”=“ピーター”っていうのがどうにも結びつかない(笑)

場面変わって、道士と麻薬取締官トムとの銃撃戦が行われ、道士は呪文を唱えて、ヒョウタンから “ピーターキョンシー”を出現させ、トムと戦わせ、“ピーターキョンシー”は手からロケット花火をビュンビュン 発射する必殺技を披露し、僕らのヒーローのはずのトムは、あっけなく死んでしまうのだった。

トムは病院に搬送されるが、手遅れの状態であった。だが、唯一助かる方法があり、それはロボットとして 甦らせることだったのだ!ここに、我らの真のヒーロー“ロボハンター”が誕生するのである!!

ロボハンターを作り出した研究所の装置がすごい!+と-が大きく表示された機械、赤とか青とかのランプが 意味もなくピカピカ光る機械、人をバカにしているとしか思えない低レベルの装置によって、“ロボハンター” は完成したのである!

このロボハンター、“ヒー、ガチャン!ヒー、ガチャン!”(表現がむずかしい・・)と誰もが想像できるロボットの 動きをする時もあれば、キョンシーが襲ってきたら、普通の人間のような動きでアクションもしちゃったりして、 もう、いいかげんとしかいいようがない!!

ボディもロボコップを完全に意識しているのだが、消防士が着るような銀色の素材を見につけているだけだから、 仮装行列で“ろぼこっぷ”って書いて歩いているおっさんと変わらないレベル。こんな低レベルなロボ にされてしまったトム、かわいそう(笑)

海岸でのロボハンターVSキョンシー4人組の闘い。キョンシーが砂の中から現れるのだが、死人のはずなのに、キョンシーの一人が、耳に砂が入ったのか顔を振って砂をはらってる(笑)。

このあと、ロボハンターは信じられない事態に直面することになる!!

「どっかーーん!!」と、ランチャーで撃たれて、あっけなく大爆破!!ミサイル回避装置くらいつけてやれよー(笑)。

これでトムも安らかに眠れると思いきや、研究者たちは残った残骸から再度、ロボハンターを作り直すのだった。パワーアップ もされてない。これじゃ、おんなじ攻撃されたらまた死ぬで。(「オレを死なせてくれぇぇぇ!」(←トム、心の叫び))

ロボハンターは“白人幽霊クリスティーン”と“ピーターキョンシー”のいる場所に向かう。すると、 クリスティーンがピーターに「カモーーン!」とイヤラシ行為をし始めるところだった。 そこに出くわしたロボハンターに、クリスティーンは「愛をとげるまで待って・・・」と言い、ロボハンターは 見逃す。すると、愛をとげて満足したのか、2人はロボハンターに襲いかかるのであった・・・。(何をやっとるんや・・・)

この後、ロボハンターと“ピーターキョンシー”が延々、夜の香港の街を徘徊するシーンがありーの、 デートしている男女二人のジャマをしーの、撮影の意図がさっぱりわからないシーンが続き、終盤、最後の闘いが 繰りひろげられるのであった。

何があったのかしらんが、なぜか道士と白人幽霊クリスティーンが闘う。その間、ロボハンターと“ピーターキョンシー”も 闘い、“ピーターキョンシー”が負けそうになったとき、道士が呪術を唱えて助けようとしたら、どういうわけかクリスティーンが 道士を殺してしまい、“ピーターキョンシー”もロボハンターの火炎放射でやられて燃えてしまう。

クリスティーンとピーターの 間に何かあったのか!?クリスティーンはロボハンターにゾッコンになっちゃったのか!?はたまたロボハンターがクリスティーンを 密かに寝取ったのか!?などなど数々の謎を残しつつ、ロボハンターはかっこよくもなく、去っていき、“THE END”。・・・本作で監督が伝えたかったことはなんだったんだろ?(笑)

この作品、今までのシナリオとは別の展開がこのシナリオの合間合間に入っていて、それがさらにこの作品の理解を 困難にさせている。簡単に言えば、ロボハンターの存在すら知らない人々が共通の敵を倒すために活躍するって展開。 詳細は、「もう、ええやろ。」 という声が聞こえそうなので省略させていただきます(笑)。

この作品の問題点をいくつか挙げてみよう。

①俳優が誰が誰だかさっぱりわからん。
特にフィルマーク社が製作する作品に関しては、そのへんにウロウロしてる素人レベルの白人俳優を出演させているものばかりだから、顔が認識できず、トムが死んでも、「え?さっきのトム?」なんて感じでビデオを巻き戻さないと いけなくなってしまう。

②全体がいいかげんなくせに、細かいところはやらんでもいいのに細かい。
キョンシーが殴られて「ぐえー」と吐き出すと、ムカデかヤスデかミミズか何かがウニョウニョ動いている。

③「サンダーアーム」のBGMをパクっている。

④ヅラが違う。
白人麻薬捜査官“金髪長髪ソフィ”が敵と戦うシーン。窓から飛び出す時は“白髪まじりの黒髪短髪ソフィ”に変貌している。

⑤“白人幽霊クリスティーン”がおっぱいをだす。
ラストの道士との対決シーンで、出さんでもいいのにおっぱいを露出。予想するに道士が殺された最大の理由は ここでムラムラっと来なかったからにちがいない(笑)。

⑥観客をバカにしている。
これが最大の問題(笑)

他にも昼と夜が同じシーンで交互に起きたり、ロボハンターが爆発音にビビって顔をビクッとさせたり、ロボハンターが 爆破した時は紙丸出しだし、ピーターキョンシーが燃える時は布キレぶら下げて燃やしてるだけだし、ってな感じで素人が映画作っても 絶対にやらないであろうことを見事にやってくれている。

これだけの作品を作ってくれた“フィルマーク・インターナショナル”とトーマス・タンだが、96年に起きた九龍のビル火災で 事務所が焼失し、トーマス・タンも帰らぬ人となってしまったのであった。この事件が起きなければ今でもさらなるE級電影作品 を作りつづけてくれたにちがいない。