僕は君のために蝶になる

おすすめランク 
原題:蝴蝶飛
出演:
ヴィック・チョウ(周渝民)
リー・ビンビン(李冰冰)
ウォン・ヤウナム(黃又南)
ミア・ヤン(閻清)  他
監督:ジョニー・トー(杜琪峯)
2008年度作品

本作の世界観が理解できて、胸キュンしたり感動できた方は読まないほうがよろしいかと(汗)

『大学中の人気者アトンに密かに想いを寄せるエンジャ。彼にはすでに恋人がいたが、いつしか2人は惹かれ合うように。しかし、幸せな時もつかの間、些細な口論がきっかけでアトンが事故に遭遇、帰らぬ人となってしまう。

3年後、法律事務所で働くエンジャは周囲に心を閉ざし、精神安定剤に頼る日々を送っていた。そんなある夜、アトンが昔のままの姿で目の前に現れる。はじめは戸惑うエンジャだったが、毎夜の逢瀬を続けるうち、次第に彼を心待ちにするようになっていく。そして、今まで知らなかったアトンの過去、秘められた想いが次第に明らかになり・・・。(DVDジャケットより引用)』

本作はジョニー・トーが監督、「ラヴソング」のアイヴィ・ホーが脚本を担当し、且つ、ヴィック・チョウの映画デビュー作でもあったから、ヴィック・チョウファンは期待しただろうなぁ。ファン視点での評価はどうだったんだろ?

幽霊モノにする必要があったのかね?「ラヴソング」みたいな作品でよかったのに。感情移入ができず、「都合がよすぎるだろ。」「あんたが悪いし。」「そりゃ、そうなるわな。」ってツッコんでしまうシーンが多かったな。

リー・ビンビン演じるエンジャのキャラに好感がもてないんだよね。「いけないことだけど、抑えきれなかった。」って言って、ヴィック・チョウ演じるアトンを略奪愛しちゃったわけで。奪い取った後、元カノに見せつけるようにアトンのバスケのユニフォームを着て、学校に行くのは性格悪いわ。ああいう意地悪しなけりゃ、結果的に交通事故に遭わなかったわけだし。で、そんなこんなで病んじゃって、2年7カ月も精神安定剤飲んでますって言われてもなぁ。エンジャみたいな”人の心を故意に傷つける”系は、こんなふうに人生のどこかで自分に何倍にもなって跳ね返ってくる気がするな。

エンジャに好意を寄せる社会福祉局のチャンからランチに誘われても「今日は都合が悪い。」と断っていたエンジャ。で、ある日、自分から誘って、連れて行ったランチの場所がお墓!(爆)「空いてる店を考えたけど、霊園だったら場所があると思ったの。」って・・・他にもあるだろ!(笑)。で、「変な人だと思ったでしょ。」って言ってたけど、おそらく好意を寄せられてることに感づいて、「私、興味ないし、断るのも面倒くさいから、いっそのこと嫌われることしちゃお!」って魂胆だったんだろうな。

エンジャが本屋にいるシーン。アトンの父親が子どもを追いかけてくるんだけど、その子どもがアトンに変わったら、エンジャが目覚めるシーンになったので、「これは夢か。」と思ったら、母親が「本屋から電話があって、本を忘れてる。」って言いだして、幻覚なのか、夢なのか、現実なのか、わからなくさせる演出に困惑したな。

アトンの父親の住む家にアトンとエンジャが行くシーン。2人とも平気で家の中に入ってるわけだけど、寝てる父親が起きるかもしれないっていう事前の策を全くしないんだよね。こういう部分を演出で無視してるところが、観ててモヤモヤしたんだよな。

ウォン・ヤウナム演じるシューがアトンの父親と同居する展開がよくわからん。あの頑固そうな父親をどう言いくるめて、受け入れさせたのかね?ほぼ、赤の他人と同居なんて、なかなかできないと思うけど。

亡くなったアトンに対して、父親が泣きながら謝罪するところは、なんか考えさせられたな。亡くなってから後悔しないように良い親子関係を保っておきたいと思っても、人は嫌なことばかり記憶に残ってしまいがちだから、なかなか難しいことで。

結局、アトンがしてることって、厄介なストーカーなんだよね。エンジャが気づかずに、3年もエンジャのそばにいたなんて、幽霊じゃなくても寒気がするよな(笑)

アトンのように心残りがあってあの世に行けず、彷徨ってるのが実在したら、そこらじゅう、幽霊だらけのような気がする(汗)

そもそも幽霊って、遭遇したことないから知らんけど、触れたりできないわけでしょ?何か物を動かしたりする時は、霊力だかを使っちゃうわけでしょ?普通に握手したり、普通にタバコの火を消したり、普通にボートを漕いだりできないものだと思ってるんだけど。・・・まあ、これまで観てきた映画の刷り込みなわけだけどね。

立場が違えば見方も変わるわけで、アトンを奪われた元カノにしたら、「ざまあみろ。」なんだよね。元カノのその後があってもよかったかも。ミスキャンパスだったわけだから、すぐに新しい彼氏が出来て、めっちゃ幸せになってたりして。それを目撃したエンジャが薬漬けに逆戻り!?(爆)

邦題は原題から考えたんだろうけど、”君のために”ってのが押しつけがましいな。英題の”linger”は居残る、残存する、なかなか消えない等の意味があるから、英題から考えたらよかったかも。

長年、香港映画ファンではあるけど、ドラマや台湾芸能に関しては疎くて、日本で”華流”って言葉が使われだして、F4の人気が爆発した頃も、他ジャンルって位置づけだったな。F4メンバーが出演した香港映画は観てるけど出演本数が少ないのよね。ヴィック・チョウ出演作でこれまでに観たのは本作と「楊家将」「腐女子探偵 桂香」くらい。

リー・ビンビンが歌う主題歌「只有回憶」↓