おすすめランク A
原題:葉問3
出演:
ドニー・イェン(甄子丹)
リン・ホン(熊黛林)
マックス・チャン(張晉)
マイク・タイソン 他
監督:ウィルソン・イップ(葉偉信)
2015年度作品
『1959年、好景気に沸く香港は、その一方で、無法地帯になりつつあった。裏社会を牛耳る最凶の不動産王フランクによる暴挙から町を守るため、静かな達人イップ・マンは立ち上がる。だがそれは、自身の家族をも命の危険にさらすことを意味していた。さらには、武術”詠春拳”の正統をめぐって挑まれた死闘・・・。果たしてイップは、人生において最も大切なものを見出し、守り、伝えることができるのか?(DVDジャケットより引用)』
本作よりアクション監督はサモ・ハン・キンポーからユエン・ウーピンに変わった。
本作は、どのアクションシーンも見応えがあったな。新キャラ、チョン・ティンチを演じたマックス・チャンのアクションがすごいのよ。賭け試合からはじまり、小学校立ち退きを巡るバトルに助っ人参戦、造船所でのドニーとの共闘と、どっちが主役かと思ってしまうくらいの活躍(笑)
イップ・マンと嫁さんのウィンシンがエレベーターに乗るシーン。ムエタイ男が、閉まりかけの扉に手を挟み、静かに乗り込んできて、危険を察知したイップ・マンが持ち物をウィンシンに渡す演出が、この後の展開への期待度を上昇させてくれたな。エレベーター内でウィンシンを守りながらのバトルから、ウィンシンをエレベーターに残し、階段を徐々に下りながら白熱バトルを展開。14秒くらい、ワンショットで撮影してるシーンもあったな。エレベーターが降りる際、ウィンシンの目線で通路にいるイップ・マンをうつす場面は印象に残った。決着がつき、エレベーターの扉が開き、イップ・マンの姿を見た時のウィンシンの表情がよかったな。しっかし、あんなニセモノトニー・ジャーがエレベーターに乗り込んできたら、ボクなら「お先にどうぞ。」ってさっさと降りちゃうけどな(笑)
中盤でのドニー対タイソンの対決。いやいや、これはさすがに前作のサモ・ハンみたいにドニーはボコボコにされると思った(汗)。タイソンが繰り出す一撃の衝撃度が伝わってきたな。途中でドニーがしゃがんだ体勢になるんだけど、前作のツイスター戦で何かを掴んだなと思った。3分勝負と決めていたので、時計が鳴ったらピタっと攻撃をストップしたタイソン、さすが!(笑)
ラスト、ドニーとマックス・チャンの対決。詠春拳同士ということで、詠春拳で伝承されてきた武器術である六點半棍と八斬刀、そして素手と、見せ場の連続!ドニーと互角にバトったマックス・チャン、ボクはあなたのファンになりました!
イップ・マンとウィンシンの夫婦関係って、ウィンシンが癌に侵されるまでは、前2作も含め、ウィンシンの不満が募る描写もあって、決して良い時ばかりではなかったよな。互いに許し合うことも夫婦愛の1つなんだろうけど。病床のウィンシンがイップ・マンに一緒に写真を撮りたいと言って、写真館で撮影するシーンはグッときてウルウルしてしまった(涙)。あと、ウィンシンにしばらく音を聞いてないと言われ、木人椿を叩くイップ・マンの姿に感動してしまったな。
ケント・チェン演じるポー刑事は、前作と同じで、イギリス人の上司の悪行に頭を抱えていたな(汗)。かつての香港警察は黒社会との癒着がひどくて、汚職だらけだったからなぁ。
ブルース・リーの登場シーンは、ご愛嬌ということで(笑)。次作に期待かな。
ティン師匠役としてレオン・カーヤンを起用してくれたのはうれしかった。
プロデューサーのレイモンド・ウォンはドニーとタイソンとの対決をラストにしたかったらしいけど、タイソンは映画であっても負けたくなかったはずだから、中盤で引き分けにすることにした監督の決断は良かったと思う。
ストーリー展開としては、前半のエピソードが後半に伏線とならず、ブチッと切れちゃってたのが、どうかなと。弟子と女教師のくだりや、タイソン演じるフランクの部下、マー(パトリック・タム)が、さんざん悪行を繰り広げたのに、フランクに「失せろ!」と言われた後、そのまま全く登場しなくなってしまうとかね。チョン・ティンチが道場を開いた際に、マーが嫌がらせして鉄拳制裁されるシーンがあってもよかったのに。
前作までのサイモン・ヤムとルイス・ファンが演じたキャラがどうなってるか知りたかったな。イップ・マンにとっては、香港への逃亡の手助けや金を貸してくれたりと二人には恩があって気に留めておくべき存在だったわけだし。まあ、仲が良くてもいつのまにか自然消滅しちゃうことあるけどね(爆)
本作の制作までにはいろいろ紆余曲折あったようで。ブルース・リーの登場シーンはCGにしようとしたら、ブルース・リー財団が認めなかったとか、レイモンド・ウォンが監督を息子にやらせようとして、ドニーが反発、両者に確執が生まれたとか。
シリーズを通して音楽を担当した川井憲次氏はサントラ界の大御所。幅広いジャンルの作品を担当しているので、聴いたことのあるメロディーは必ずあるはず。本シリーズのメインテーマは最近、脳内ヘビーローテーション中(笑)