漆黒 ノワール

おすすめランク B   

原題:公僕 
出演:
ダニー・リー (李修賢)
エディ・チャン(艾迪)
パークマン・ウォン(黄柏文)  他

監督:ダニー・リー (李修賢)
1984年度作品

“ダニー・リーといえば刑事役”と言われるようになった原点の作品。

本作は、ジャッキーのポリスストーリーみたいに強い刑事がとんでもないアクションを繰り広げるという派手さは全くなく、どこにでもいそうな刑事が、新米刑事とともに闇賭博、改造拳銃の摘発、麻薬密売の捜査、ガソリンスタンド強盗の逮捕など、日々、発生する事件に関わっていく姿を描いた作品。 

新米刑事のキイ(エディ・チャン)が、ビー刑事(ダニー・リー)とコンビになり、はじめはビー刑事の暴力や、自白させるためのでっちあげ、情報屋の扱い等のやり方に反発、不満を抱くが、次第に、そういうことをしていかないと事件が解決しないことを実感していく過程がうまく表現されてたな。・・・子供の頃に西部警察で刑事の暴力を見慣れたせいで、ビー刑事のやり方に違和感を全く感じなかった(笑)

ビー刑事が家で食事をしている際に、近所で騒ぎがあるシーン。1人の男を複数でボコボコにしているのを、止めに入るが、その男が子どもに暴行したことを知った時のビー刑事の怒りはすごかったな。ボッコボコにしているのを警官嫌いのババアが非難したら、「警官の前に1人の人間だ!」と言う姿はかっこよかった。子供を暴行するのって誰もがやってはならんことだけど、親が虐待するのは絶対ダメだって。心の奥底にトラウマが残って、犯罪者予備軍にもなるし、うつ病やPTSDの要因になるんだから。

犯人を追跡中、ビー刑事が誤って子供を撃ってしまい、子供を死なせてしまうのだが、その後の苦悩がひしひしと伝わってきた。市民を犯罪から守るために刑事になったのに、子供を殺された親からはボロカスに罵倒され、メディアで取り上げられ、それを知った市民からは非難され・・・。警官を志望している人が本作を観たら、なりたくなくなるだろうな(汗)

情報屋のシン(タイ・ポー)は、ヤクに手を出したせいで人生終わったよな。判断基準がヤクありきだから、ヤクを買う金がほしくて刑事にタレコミして、チンピラにボコボコにされちゃったり、やっちゃまずいことの判断ができなくなってる。しっかし、ビー刑事も油断してたよな。シンに治療費を渡すところをチンピラに目撃されたのはあかんだろ。情報料だと勘違いするに決まってるし。

ダニー・リーは本作で香港電影金像奨と台湾金馬奨の主演男優賞を受賞した。

邦題がよくわからん。なにが漆黒なんだ?。タイトルつけるにも会議があるはずだから、他の候補を押しのけてこれになった経緯が知りたいわ。ボクがあえて考えるとしたら、「ダニー・リー 真ポリスストーリー」だな(笑)。ちなみにノワールはフランス語で黒って意味。

ラスト、上司にビー刑事が休暇の申請をするシーン。「無罪となっても子供を殺してしまったことに変わりはない。」というセリフが心に残った。