ソルジャー・ドッグス

おすすめランク C

原題:英雄無涙
出演:
エディ・コー(高雄)
ラム・チェンイン(林正英)
チン・ユーサン(錢月笙)
監督:ジョン・ウー呉宇森
1983年度作品

1983年に作品は完成したものの、残虐的、暴力的ということで封印され、 86年に「男たちの挽歌」が大ヒットした際、このオクラ入りされた作品はようやく日の目を見ることになったが、一週間で上映が打ち切りとなってしまった問題作である。

1975年、タイ政府はミャンマー、タイ、カンボジア国境の「黄金の三角地帯」 に潜む麻薬王サムトンを捕らえるべく、派兵を決定する。志願した5人の中国人兵士たちは、アメリカへのグリーンカードを報酬として、見事、サムトンの 身柄を拘束し、国境に向かう。

ある検問所で5人は偶然、フランス人夫婦が兵士に暴行されている現場を目撃する。 検問所を仕切る長官(ラム・チェンイン)が、フランス人女性を射殺しようとスコープを覗いた先に見えたのは、5人の中国人兵士のリーダー(エディー・コー) だった。

片目に銃弾を浴びたラム長官は、恨み、憎み、5人の兵士に対し、彼の執拗な攻撃がはじまるのだった・・・。

ラムさんをこの作品で初めて知ったならば、嫌いになってただろうってくらい、本作のラムさんはコワすぎ!おそろしく自己中心的な長官役で、自分の片目が見えなくなったのも、「そもそもはあんたが悪いやん。」ってキャラ。 部下の一人に「もう、こんなことやめましょうよ!ボクらあの中国人になんの恨みもないですもん。」と言われたら、すぐに射殺してしまうラムさん!(笑)

って、戦争の時なんか、こんなクズ長官がたくさんいて、そいつらのその日の気分とかで殺されていった人はたくさんいただろうなぁ。大義なんかなくなって、結局は、上級軍人の金絡みで下級兵士が不幸な目にあうパターンも多かったはず。

エディー・コーの子ども役、ケニーの演技が素晴らしい。演技といいながら、トラウマになってなければいいけど。野っぱらで、ガソリンまかれて火をつけられ、逃げまどうシーンなんて、焦りまくり。

えげつない拷問シーン。いつも思うことだが拷問って、ほんとよくこんなこと思いつくよなぁ。ラム長官が、エディー・コーの まぶたを眼を閉じさせないように糸で縫っちゃって、太陽の光が照りつけるところに宙吊りしてる。想像しただけでイヤ!!

ラストのラム長官とエディー・コーの銃をつかわない壮絶なバトルシーン。 二人のクンフーを一切使わないドツキあいは、この作品のリアルさをよく表現していた。

なんか、こういう作品を観ると、人間のイヤな部分ではあるものの、本質っていうものを改めて感じるよな。戦争や、自分の生死に関わる時に、露骨にあらわれることを思うと、平常時である現在の、常識といわれるものや嫌悪感を抱くものって、人間の本質に気づかせないために、何かに思い込まされてるものなのかもね。