Why Me?

おすすめランク D   

原題:何必有我?
出演:
ケント・チェン (鄭則士)
チョウ・ユンファ (周潤發)
オリヴィア・チェン (鄭文雅
ジャオ・ジャオ(焦姣)
チュウ・コン (朱江)
エリック・ツァン (曾志偉)
シン・フイオン (成奎安)

監督:ケント・チェン (鄭則士)
1985年度作品

スタープラスで放送された作品。内容がかわいそうで、二度と観ることはないだろうと、かなり前に録画していたのは消してしまったので、下記レビューは、ほぼ修正なしです。だけど、強烈に記憶に残っている作品。

最後の最後まで不幸すぎて、ラストは、「そんな運命はひどすぎるだろー!」と、この映画自体に問題があるなと思ってしまった。

ある村に、知的障害のあるフェイマオ(ケント・チェン)と母親が暮らしていた。フェイマオは村人たちから、差別され、 シン・フイオン率いるチンピラにイジメ倒されていた。ある日、社会福祉の仕事をしているホーホー(オリヴィア・チェン)が雨宿りした 小屋に住んでいたのが、フェイマオたちだった。はじめのうちはフェイマオを拒絶していたホーホーも、しばらくして心を通わせるようになって いった。母親は、フェイマオの父親はすでに死んでいて、生活も苦しく、でもフェイマオのために、がんばって働いていることをホーホーに話す。 そして、まだフェイマオは父親が死んだことを知らず、いつか帰ってくる日を待ち続けていることなども話した。

ホーホーは何とか助けたいと思い、生活援助を受けるよう説得するが、母親は他の人から施しは受けたくないと拒絶してしまう。 ホーホーは時間をかけて説得し、母親はやがて援助を受け入れることに納得する。しばらくして、母親が突然倒れ、病院に運ばれる。 医師から手遅れだと告げられ、フェイマオとホーホーが見守る中、母親は死んでしまう。

その後、悲しみの毎日を送るフェイマオのところに、またチンピラがやってきて、殴る蹴るの暴力をしたあげく、「お前の母さんは体を売っていたんだ!」と言う。頭にきたフェイマオは、シン・フイオンに包丁を突きつけ、ある工場に立てこもってしまう。警察が包囲する中、事件を聞きつけたホーホーとホーホーの恋人、ユンファは、フェイマオを説得するため、工場に入る。 中に入ると、フェイマオがシン・フイオンの手と足をロープで結んで、吊し上げていた。ホーホーは、説得するため、「お父さんが帰ってきて 、外でフェイマオを待っている。」と言う。そしてフェイマオの手からロープを取ろうとした瞬間、シン・フイオンは床にたたき付けられ、 死んでしまう。フェイマオが父親に会えると喜び、外に出ると、母親が嫌いだった警官が包囲していたため、包丁をふりまわしながら走り出し、 襲ってきたと思った警察の銃に撃たれ、フェイマオは死んでしまうのだった・・・。

ひどすぎる話だなぁ。こういう作品って、何か最後にはフェイマオにいいことが起こって、知的障害でありながらも、それなりに幸せな日々を 過ごしていったっていう終わり方ならいいけど、死んじゃうって(汗)。こんなの、これだけ不幸になってしまったら、死んで親のいる天国に行った方が幸せだって言っているようなもんじゃないか。

この作品にはもうひとつストーリーがあるのだが、自分がよかったら結局はそれでいいんかい!と思ってしまう内容。ホーホーは、父方の おばあさんと暮らしていて、両親は離婚していた。父親が働きもしない人間で、いつもおばあさんに金をもらいに来ていた。それを良く思わない ホーホーは、父親を毛嫌いしていた。ある日、母親が再婚してオーストラリアに行くことになり、それを祝福するホーホーだったが、これで家族 の何かがなくなることを、ふと感じる。フェイマオと母親の仲のよい家族というものを見ていくうちに、ホーホーは父親との間の仲を修復しよう と思うようになる。最後には母親は再婚したものの、親子の3人の絆は取り戻せてよかったよかったというストーリー。

そして最後の最後、フェイマオが死んでしばらくして、ホーホーがユンファに「もう、こんな仕事はこりごり」と言っていると、また別の障害者が現れ、それを見たホーホーは「どうしたの?」と障害者に話しかけ、ユンファが「やれやれ。」といった表情をしたところで、エンディング。

なんか、こんな終わり方だと、自己満足のために誰かを助けてやって、その対象は誰だっていいって感じで、ホーホーがフェイマオたちにしてきたことが、偽善でしかないように思えてしまう。

チンピラのイジメ方もすごかった。板きれでぶったたいていたら、一人が釘があるのに気づき、フェイマオの手のひらめがけてぶっ刺してる (汗)。

この作品が公開された年には、同じく知的障害者を扱ったサモ・ハン監督の「ファースト・ミッション」も公開された。この二つを比較すると言うまでもなく 「ファースト・ミッション」の方がいい。でもこの作品は、ケント・チェンが香港電影金像奨主演男優賞を受賞し、香港評論家大賞も受賞した作品なのであった。