男たちの挽歌Ⅱ

おすすめランク A   

原題:英雄本色Ⅱ
出演:
ティ・ロン(狄龍)
チョウ・ユンファ (周潤發)
レスリー・チャン張國榮
ディーン・セキ (石天)  他
監督:ジョン・ウー (呉宇森
1987年度作品

『前作から数年後、服役中のホー(ティ・ロン)に、新たな偽札組織の黒幕と噂されるルン(ディーン・セキ)への潜入捜査を警察が持ちかける。ルンはホーを育ててくれた師匠だったので断るが、刑事である弟キット(レスリー・チャン)がその組織の潜入捜査をしている と知り、承諾する。

ルンは、パーティで部下の策略により、別の組織のボスを殺したとされ、アメリカへ逃亡する。ルンは、娘と親友を殺されたのが原因で 精神病院送りになる。そこへマークの双子の弟ケン(チョウ・ユンファ)がやってきてルンを預かる。ルンの部下はルンを殺そうと、 刺客を送るが、ケンによって阻止される。ルンとケンは香港に戻り組織との全面対決に乗り出すのだった・・・!』

キットが取引現場に登場するシーンがこれまったカッコイイ!!フェンスに銃弾が当たって火花が飛び散りながら、スローでよけるキット!フェイスに行く前に1回クルっとこれまたスローで回転するのもいいねー!

ホーが組織の仲間入りのテストとして、キットを撃たなければならないシーン。自分が撃たなければ、他のヤツに撃たれてしまう、 でも撃ちたくないという葛藤の中、キットに「兄さん、遠慮するな。疑われる。」と言われ、うっすら涙を浮かべながら、 銃を向けるホー!

ニューヨークのボロホテルでの伝説の銃撃戦はこれまで何度見たことか!
精神病に侵されたルンに対し、死んだルンの娘の写真を破りながらケンは問いかける。「一生このままでいる?みんなを失望させるな!なぜ現実を見ないんだ!なぜ!死んだも同じだよ!!」と。その後、銃に弾をこめるシーンの、弾をテーブルにバラバラ!と 落とす音、装填する音が異様にかっこよく、忘れることができない!

そして、始まる銃撃戦。廊下のシーンは前作でマークが片足を撃たれた楓林閣のシーンに重なる。長い廊下の先に出口があり、 ケンはルンを連れてここを突破しようとする。階段にたどり着いたところで、ユンファの2丁拳銃が炸裂!そして、伝説の “仰向け階段すべり2丁拳銃”!!もう、やられた!!なーんでこんなかっこいいのー!(笑)このシーンを初めて見たのは中学生の頃で、無謀にも自宅の階段でエアガン持って“勝手にリメイク”しようとしたが、傾斜がきつくてあきらめた記憶がある(笑)。あきらめなかったら、転げ落ちてルンさんみたいになってたかも(←コラコラ!(笑))。

ホテルから出てきた2人になおも浴びせられる銃弾の嵐!そして、ケンが撃たれてしまう。もだえ苦しむケンが見たのは、 「ケーーーーーン!!」と叫びながら敵に銃弾を放つルンの姿だった・・・。 もう、この作品でのディーン・セキ(ルン役)、 いいとこ持っていきすぎだし、名セリフ言いまくり!

組織のアジトに潜入し、ニセ札を作る現場を写真におさめたキットが帰ろうとすると、キットの後ろにはサングラスをかけた 一人の男がいた。ちょうどその時、キットの妻ジャッキーの体から新たな命が産声をあげるところだった。銃を片手に後ろを 振り返るキット。互いに放たれる銃弾!そして、流れ星が流れ、キットは倒れ、病院では新たな命がうまれるのだった・・・。 このシーンでも前作同様、風の音が効果をあげていた。こういう演出がボクの心にヒットしてしまう。

そしてラストの銃撃戦!アジトに侵入する前に、ケンはマークが着ていた弾で穴だらけのスーツをまとう。もう、マークが完全に ケンにのりうつってる感じ。そして、キットの血で塗られた壁をケン、ホー、ルンは、ルンを除いて(笑)かっこよくジャンプする。・・・このシーンって撮り直しすればよかったのにね。ルンさんだけが記憶に残ってしまってる(笑)

想像を絶する銃撃戦がはじまる。ホーとルンは待ち伏せをして、次々と数十人を殺して壁を赤く塗り、ケンは火薬量を間違えた爆弾でニセ札工場を爆破する。そして、ケンは後ろに殺気を感じ、至近距離での撃ちあい!相手はキットを殺したサングラスの 男だった。続けて数発の弾丸が発射され互いに傷つくと、すでにケンの拳銃には弾がなく、銃を捨て、マッチをくわえながら、 柱に寄りかかるケン。すると敵は2丁の銃を取り出し、その内の1丁をケンのそばに投げる。まさに決闘!!

ジョン・ウーが完成させたオリジナル版は150分だったのだが、劇場側が回転率をあげるため短縮を要求したために、 104分になってしまった。パンフレットには完全版をジョン・ウーが作ると書いてあったが、いまだ実現に至っていない。 誰もが言うだろうがボクも言う!「完全版つくってくれえ!!」(笑)

短縮した結果であろうが、不可解なシーンがあった。ケンとルンが香港に戻ってきてマンガ家の自宅でホーと再会するシーン。 ホーがいきなり海岸をバシャバシャ水しぶきを上げて笑顔で走ってくるのである。その前に誰かと遊んでたのか?、かーなり謎。

また、パンフレットにも謎のシーンが2シーンも写っていた。一つはケンがラストの銃撃戦で「ノーノーノーソーリー!」と 撃ち殺してしまう白人にキットが工場内で銃を突きつけているシーン。もう一つは、ケンが至近距離で銃撃するサングラスの男に ホーが日本刀で殺そうとしているシーン。両方ともこんなシーン、見たことない!!

初めて観た時、双子の設定で、ユンファが前作のマークと本作のケンを演じているってことに「双子かよ!」と相当ツッコミいれたけども(笑)、傑作なので、未見の方はぜひぜひご覧を!