片腕ドラゴン

おすすめランク B   

原題:獨臂拳王
出演:
ジミー・ウォング(王羽)
ロン・フェイ(龍飛)
マー・チ(馬驥)
タン・シン(唐沁)
シュエ・ハン(薛漢)
ティエン・イェー(田野)
サン・マオ(山茅)
ツァイ・ホン(蔡弘)
ブラッキー・コー(柯受良)
監督:ジミー・ウォング(王羽)
1971年度作品

日本で空前のドラゴンブームが起きた際、「燃えよドラゴン」のすぐ後に公開されたジミー・ウォング日本初上陸の記念すべき作品!

ある日、料理屋で小鳥自慢をしていた老人のところに、道場“鉄鉤門”の門下生マーが「そこは俺の席だ。座った以上、ただでは すまさん!」とイチャモンをつける。老人の小鳥を見たマーは自分の小鳥とつがいをさせようとするが、老人に断られると、 「申し出を断るのか!」と集団リンチ。

その状況を見るに耐えなくなった道場“正徳武館”の高弟、ティエンロンジミー・ウォング)は、マーらと乱闘を繰りひろげる。 道場に帰るとティエンロンは、ハン師匠から罰を受け、謹慎することになる。

マーは師匠のチャオから事のいきさつを聞かれると、「ティエンロンが自分に席を譲れと言って、断ったらいきなり殴ってきた。」と 大嘘を言い、チャオ師匠は激怒!集団でティエンロンの身柄を引き渡すよう、“正徳武館”のハン師匠の元に向かうのであった。

ハンは、チャオに事情を説明するが、チャオは全く聞く耳持たず、大乱闘。チャオは卑怯にも隠し刀でハンを傷つけ、ハンも チャオに軽傷を負わせる。それに怒ったチャオは、“正徳武館”を皆殺しにすると言い残し、去っていくのだった。

この街の2大勢力であるハンとチャオ。ハンはレンガ工場と染色工場を経営し、反面、チャオは麻薬と売春で私腹を肥やしていた。

チャオは、世界中の殺し屋を用心棒に雇うことにする。集められた精鋭は、“沖縄流の創始者”二谷太郎、弟子の長谷川、坂田。 柔道の高橋、テコンドーのキム、“タイ”キックボクシングのツイ兄弟、“インド”ヨガのムラ・シン、チベットラマ僧。 チャオは彼らを引き連れ、ハンの元へ。ハンの門下生は次々と倒されてしまう。そしてティエンロンは、二谷太郎との闘いの際、 二谷の鉄拳によって右腕を切り落とされるのであった。

その後、ハンの門下生は皆殺しになり、ハンも帰らぬ人となってしまう。ティエンロンは、瀕死の重傷で道端で倒れているところを ある父娘に助けられる。その娘、シャオユーの懸命な看病により回復したティエンロンは、チャオへの復讐を誓うのだった。 その話を聞いたシャオユーは、父の持つ秘薬のことを話し始める。その秘薬とは、手を火で焼き全神経を殺してから、その秘薬に 1ヶ月ほどつけると、神経が回復すると同時に、鉄よりも硬い腕になるというものだった。

半年後、この苦しい鍛錬を克服したティエンロンは、チャオと世界の殺し屋たちに立ち向かうのであった・・・!!

カンフー映画ブームであった当時、多くの似たような作品が作られたが、ここまで荒唐無稽な作品は おそらくなかったのではないだろうか。その点で、ジミーさんの想像力というか発想力は、すごいと思った。 もし、ボクが公開当時、観に行っていたらかなりの衝撃を受けたにちがいない。

ちょっと気になったのは、たびたびくりだすジミーさんの後ろ蹴り。どうもかっこよくない(笑)

クライマックスの地獄谷での闘いは、ロケ地も、高い崖の上から“怪人キバ男”二谷太郎ら 殺し屋がジミーさんを見下ろすシチュエーションも“東映ヒーロー”ものに通じるものがあった。

ラマ僧とジミーさんの闘い。ラマ僧は必殺の密宗気功を披露する。この術は体が、そのまんま空気で膨らましているとしか 思えないくらい、プクー!っと膨らむのだ!すでにジミーさんは“商曲”という秘孔をうてば倒せることを知っていたので、 見事にそこに一撃を食らわせ、ラマ僧は死亡!

“インド”ヨガのムラ・シンとジミーさんの闘い。ムラ・シンが得意技かどうかしらんが、逆立ちで攻撃を始めると、 ジミーさんは、“片腕人差し指”逆立ちを披露!最強のジミーさんに勝てる者はもはやいない!(笑)

崖の上からバトルの様子を見ていたチャオ。部下にダイナマイトをジミーさんめがけて投げまくる。ジミーさんは、爆破する 地点をまるで知っていたかのように、爆破する前にかなり離れたところですでに伏せてる(笑)。その後、 タイミングよくダイナマイトを手で受けて、チャオに投げ返し、爆死!

ついに、最後のボスキャラ“怪人キバ男”二谷太郎との闘い!二谷の猛攻撃が始まり、血みどろの闘いとなるが、 自分の片腕の仇を討つべく、見事、二谷の片腕を片腕で切り落とし、二谷は死亡!ジミーさんはかっこよく立ち去って劇終!

ジミーさんの思惑通り、「キャーーーー!!ジミーさん、かっこええ!!!」と思ってしまいました(笑)

この作品、過去にスパイクからDVD化された際、すぐに廃盤になってしまって、どこ探してもなくて、買えなかったのよね。で、数年後、東京中野のブロードウェイの中古店で見つけて、「うおーーーー!」って興奮して、価格見たら、諭吉が2枚(汗)。さんざん悩んで、買ったけど、これまた数年後にキングレコードから発売されちゃって、トホホだった。こういうことがある場合と、ない場合があるから、判断が難しい。現在は、パラマウントからDVDとBlu-rayが発売、Amazonプライムでは動画配信もされている。いい時代になったもんだ。 

スパイクのDVDの説明文に「タイトルが不適切な表現となっていますが、オリジナルを尊重しました。」などと書いてあったが、こういうことを過度に気にする時代があったよな。不適切っていうなら、「一本腕ドラゴン」ならいいのかしら?(←あまり変わってない(笑))。それか、 「ジミー・ウォングの片腕はつらいよ。」(←だから“片腕”がダメなの!(笑))、まるっきり変えて「ジミーの大冒険」とか(笑)。

この作品は香港、アメリカでも大ヒットし、続編「片腕カンフーVS空飛ぶギロチン」も製作された。