燃えよデブゴン

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原題:肥龍過江
出演:
サモ・ハン・キンポー(洪金寶)
ルー・チューシー(陸柱石)
リー・ハイシャウ(李海淑)
ラウ・ホンピン(劉香萍)
ピーター・ヤン(楊群)
ラム・キンミン(林建明)
ロイ・チャオ(喬宏)
レオン・カーヤン(梁家仁)
リー・ホイサン(李海生)  他
監督:サモ・ハン・キンポー(洪金寶)
1978年度作品

今年の5月にNHK BSプレミアムで放送され、一部で話題になったが、来年の元旦に再び、放送されることが決定!放送時間は朝7時から。で、デブゴンが終わったら、そのまま「燃えよドラゴン」の放送。元旦からすばらしいですな~!!

『とある田舎の家で養豚をしていたロン(サモ・ハン・キンポー)は、父から自立をすすめられ、叔父(フォン・フン)が経営する食堂の手伝いをするため、香港に向かう。そして、その食堂の従業員、タイジーゴウ(ルー・チューシー)と親しくなる。

ある日、食堂でチンピラたちが無銭飲食し、それを咎めたタイジーゴウにチンピラが暴行。それを見たロンは格闘し、彼らを退散させるが、店はめちゃめちゃに。店主に「お前のせいだ。」と言われたタイジーゴウは怒って、店を辞めてしまう。

タイジーゴウには絵描きの才能があった。タイジーゴウは、贋作で金儲けをしていた骨董商(ロイ・チャオ)の手下(フォン・ハックオン、フォレスト・チャン)から、絵画のニセモノを描く依頼をされるが断る。その後、手下から嫌がらせを受けるようになってしまう。

ロンにボコボコにされたチンピラたちが、ある日、ロンのいない間に叔父の食堂に仕返しに現れ、食堂を破壊してしまう。食堂が休業することになったため、ロンは職探しをすることになるのだった。

ロンが、職探しにあるレストランを訪れると、食堂の常連で知り合いになったザン(リー・ハイシャウ)とメイ(ラウ・ホンピン)が働いていた。彼女らの口添えで、ロンはそのレストランで勤務することになる。

ある日、海外から大富豪で収集家のバク教授(ビーター・ヤン)が香港にやって来たのを知った骨董商は、教授に接近し、パーティーに招待する。そのパーティーの給仕係をロン、タイジーゴウ、ザン、メイがしていると、教授の目がザンに止まる。ザンは教授がかつて片想いした女性と瓜二つだったのだ。ザンの虜になった教授に骨董商は、全ての贋作を売りさばいてくれることを条件に、ザンの誘拐を提案するのだった・・・。』

1983年にフジテレビ「ゴールデン洋画劇場」で放映された日本語吹替え版、ビデオ版、BSプレミアム版の3つを観比べてみた。とにかく、BS版の画質がすばらしい。こんな高画質で本作を観れるなんて感激したな。

3つのバージョンで1つにあって2つにないシーンは、BS版には留学帰りのお坊ちゃんを演じたエリック・ツァンの出演シーン。日本語吹替え版にはバス待ちしている出っ歯のサイ・クヮパウ(西瓜刨)の会話シーンと後述するレオン・カーヤンとのロングバトル。ってことは、ビデオ版が3バージョンの中では一番、尺が短いってことか。

チンピラたちが無銭飲食を正当化する会話シーン。ビデオ版の字幕。「TVでエグイCMを流してやる。中原理恵でも使って。」「街でも大宣伝してやる。こっちはタモリだ。」・・・昭和ってたまにこういう当時の流行りモノなんかを字幕にしちゃってたよな(笑)。

ロンがスタントマンとして映画撮影に参加するシーン。ほんと、偽ブルース・リーよりもサモ・ハンのほうが目つきや仕草が似てたよな。特に1発殴られた時の、あの表情!(笑)

なんか、ストーリー展開に不必要なひとつひとつのネタが、たいして面白くないのに冗長なんだよね。バスの乗車シーン、車のいたずらシーン、タクシー追いかけシーン。あと、しょっぱなの肉屋の店主とおばさんの会話シーンの必要性もわからん。

タクシー運転手になったタイジーゴウのタクシーを骨董商の手下がキズをつけて嫌がらせした後、ロンが手下の車と勘違いして、レストラン経営者の車を破壊しまくるんだけど、やりすぎ。そばで見ていた手下役のハックオンが慌ててない時点で「あれ?」って気づくだろうに。

ザンを助けに行くシーン。ロンがタクシーの後部座席に乗ってないのにタイジーゴウが会話してるわけだけど、けっこうな距離を走ったんだから、いいかげん、運転手が気づくだろうに。

バク教授がザンを見て、片想いの女性を思い出すシーン。BS版でその女性を「エビ子」と名づけたのは、字幕付けした人、記憶に残るネーミングにしてくれたよな(笑)。他2バージョンでは、シンユー、シー・ニューって名前だったし。しっかし、教授、エビ子に嫌われすぎだろ(笑)。

終盤のバトル直前、3対1では不利だと思ったサモ・ハンがレオン・カーヤンに囁くシーン。カーヤンが納得するわけだけど、BS版の字幕は「同胞なら1対1で堂々と戦おう」、吹替え版は「1対1で堂々とやろうぜ」で、悪役のカーヤンをすんなり納得させたにしては、”?”なんだよね。ビデオ版は「お前との勝負をこの映画の見せ場にしようぜ。」で、ボクも納得できたわけだけど。ここで実際は何て言ってるかなんだけど、英語の字幕では「お前は人間だ。彼らは悪魔だ。もし彼らと関わったら、お前も彼らのようになってしまうよ。」ってなってるのよ(汗)。原語では”悪魔”より侮辱的な言葉が使われてる。

終盤のバトル。レオン・カーヤンとのバトルシーンが、日本語吹替え版よりもビデオ版、BS版が短縮されていたのは、「なんで?」だったな。このバトルシーンを短縮するなら、ほかにもっとムダなシーンがあったんだけど(爆) 

本作がビデオは入手困難で、DVD化されてないのは、権利関係もあるんだろうけど、リー・ホイサン演じる黒塗りメイクの男も理由の1つでしょ。日本語吹替え版ではっきりと黒人って言ってるし、英語吹替えでもblack guyって言っちゃってるしね。ビデオとBS版は黒人とは一切字幕に書かれてなかったけど、黒人と言及しなかったら、”黒人の恰好した中国人空手家”になってしまい、それはそれでどうなのよって(汗)。たまに芸人がハリウッドの黒人スターのマネをやって炎上することあるけど、黒塗りメイクはね。

劇場公開時のチラシ裏面が、「中国語ではありません」と注意書きして、小学生が自由帳に書きそうな漢字だけで作品紹介してる(笑)。「李小龍的扇風機必落涙狂喜乱舞的愉快映画!(ブルース・リーのファンならば誰でも涙を流して喜ぶほど面白い映画だ。)」・・・”ファン”を”扇風機”ってのはちょっと笑ったな。

パンフレットとチラシに書かれていたうたい文句。「師と仰ぐはブルース・リー ひとり田舎を旅立ちドラゴンへの道をまっしぐら。 前途多難危機一発をのりこえて、ふりかざす怒りの鉄拳!燃えよデブゴン おれが最後のブタス・リー!」・・・ブタス・リーはむりやりすぎるだろ(笑)。

あまり面白くないシーンや、現在では不適切な描写があるにはあるが、サモ・ハンブルース・リーをリスペクトしたアクションは、楽しいし、一見の価値があると思うので、元旦の放送をお見逃しなく!

バク教授役を演じたピーター・ヤン氏が2022年10月24日にお亡くなりになりました。心よりご冥福をお祈りいたします。