武田鉄矢の燃えよ!カンフー

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テレビ東京の「火曜ゴールデンワイド」で1983年に放送されたもの。
こんな番組をゴールデンタイムにやってた時代があったんだよなあ!

武田鉄矢”の“燃えよ!カンフー”だよ!(笑)“ジャッキー・チェンの・・”でも、“デブゴンの・・”でもないんだよ!(笑)

まず、武田さんが登場し、「ウットリしたんですなあ。」とカンフーに魅せられたことを語りつつ、 画面下のテロップで武田さんの紹介文が流れる。 「武田鉄矢・・・学生時代は柔道、最近では中国拳法を修行するなど、 もっぱら硬派なスポーツを愛する。最近のヒット作「刑事物語シリーズ」の中でも見事な蟷螂拳を見せている。」 ・・・どっこにも“海援隊”だの“贈る言葉”だの“金八先生”という紹介なし!(笑)

たしかに武田さんは、ボクが子供ながらに「刑事物語」をゴールデン洋画劇場で放送した時の予告篇なんかで、アクションしてるシーンを見たことあったけど、 カンフーネタの特番で司会がやれちゃう存在だとは思わなかったから、ボクの興味はどれだけのカンフー知識が詰まったトークを武田さんが繰り広げてくれるのかってところになったわけだが、「ん?ん?ん?」って思うところがほとんどだった(笑)

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番組は次にタイトルがでて、バックでカンフーの達人だと思われるおっさんが演武しながら、「カンフーとは宇宙を呼吸する魂のバイブレーション」と、よくわからないけどカンフーってなんだかすごそうな表現が表示される(笑)

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続いて香港の街並み、「ヤングマスター」や「激突!蟷螂拳」のポスターが映りながら「ブルース・リー亡き後、香港カンフー映画界は、 ジャッキー・チェンリュウ・カキなど多くのカンフースターを送りだしている。」という堀勝之祐さんのナレーション。 リュウ・カキって誰??って思ったらリュー・チャーフィー(劉家輝)のことだった(汗)。わざわざカンフースターって書いてるけど、なんかバカにしてない?(笑)

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ジャッキーがベンツに乗って登場。 ゴールデン・ハーベスト内でニコニコジャッキーが記者からの質問に答えるシーンが映る。

新作(!)「プロジェクトA」の撮影現場のシーンは貴重だな~と思ってたけど、この映像は「プロジェクトA エクストリームエディション」の特典映像メイキング2に収録されている。

続いて、ブルース・リーの紹介がはじまる。
「“ブルース・リー”カンフーの特色は、まず耐えること。そして、怒りを内に秘めること。そして怒りの鉄拳は常に権力を誇示する者に向けられること。」・・・えー!?こんな特色ってほとんどのカンフー映画に共通するものなんだけど(汗)

武田さんも多くのブルース・リーファン同様、「燃えよドラゴン」を観た時のショックはすごかったようだ。
「東洋人の体の中にありますね、怒りをそのままエネルギーにする、それをいみじくも凝縮し、具体化して見せてくれたのがブルース・リーだったと思います。」・・・東洋人にしかないってことではないだろうに(笑)

ブルース・リー作品全体に対しての武田さんの見解は、「憎い奴に憎いだけ殴る。さして憎い奴は数少なく殴る。とても当たり前の自然な道徳がきちんと働いているような気がしてならないわけであります。」・・・なんだか“自然な道徳が働いていれば、憎ければ殴ることはいいことだ。”ってことになっちゃいそうなんだけど(笑)

番組中、「おまえら気づいてないだろうけど、オレは気づいたぞ、すげぇだろー!」って武田さんがうれしそうに語るシーンが↓ここ!
ジャッキー・チェンが「酔拳」の中で7人の仙人たちの型を見せてくれるシーンがございますが、ジャッキー・チェンの影が伸びたり縮んだりしてるんですね!全体で2分30秒くらいなんですが、影の回数を数えたならば、なんと、あれ、7日間かかってるんですね。 影が短いのは朝撮ってるからなんですね。ところが次の切り替えしのカットで影がドーンと長くなってるんです!あれは夕方まで撮影がもめたんですね、きっと!ジャッキーさんとスタッフがコレやったんでございますね! スタッフに「気楽にやろうよ」なんか言われてジャッキーさん、抵抗したんでしょうね!」・・・しゃべりながら、時々、スタッフの反応をチラ見してウケてるか確認してるあたりがいやらしい(笑)

武田さんがそんなに語るもんだから、そのシーン、観直しちゃったよ!(笑)。いやあ、このシーンで影に注目するとは!(笑)。 ボクは全く気にもしなかったな(爆)。このシーンでジャッキーとスタッフがもめたとか話をふくらませてるところはよかったのに、 仙人の人数を8人じゃなくて7人って間違ってるところが惜しい!(笑)

その後、番組はカンフースターになることを夢見る少年に密着するドキュメンタリーになっていく。 貧乏な家庭で育った少年がカンフースターを夢見てかなわぬ努力をするっていうありがちのやつ。

何人か少年が登場するのだが、その中の1人、リン・イギョウ16歳を紹介しよう。

リン・イギョウは2年前、武術大会少年の部でチャンピオンになった。彼は9人家族で8畳1間で暮らし、縫製工場での仕事は月給4万円。 半分は家に渡し、残りはカンフー道場の月謝に消えるという生活。・・・9人で8畳って(汗)

リン・イギョウは、ラウ・カーリョンの新作オーディションを受ける。ラウ・カーリョンと一緒に審査してるのか、シャオ・ホウの姿もみえる。

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ラウ・カーリョンの前で蟷螂拳を披露するリン・イギョウ。で、カーリョンが、「こういう型をやってみろ!」「突きを見せてみろ!」って熱心に指導してるんだけど、明らかに日本の取材陣がいるからのサービスにしか思えん(笑)。で、結局、カーリョンに「家に帰ってもっと練習しなさい。」 って言われてリン・イギョウは落選。その後、かなしいピアノBGMが流れて暗闇で熱心に練習するリン・イギョウを映しながら、「リン・イギョウは・・・今日のこのくやしさを自らの拳にこめる。」とナレーション。・・・なんか、これを言いたかったためのいままでの演出って感じ(笑)

まあ、オーディションだっていうのに、天下のラウ・カーリョン監督の前で中途半端な薄いヒゲ生やしたままっていうのはダメだわ(笑)

ラウ・カーリョン監督が"カンフースターの条件"をインタビューで答えている。独自のスタイルを確立すること。目の輝きと鋭さ。顔も重要なポイント、もちろんハンサムなほうがいい。カンフーの基礎ができているか。素質や鋭いカンが要求される。頭の回転も速くなければいけない。表現も豊かでなければいけない。技術や能力だけでなく、運が大きく左右する。・・・リン・イギョウがオーディション前にこのインタビュー見てたら、「あ、オレはムリだ。」って思ったかも(笑)

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少林寺秘棍房」の撮影現場シーンは貴重だったな。リュー・チャーフィー、コウ・フェイ、ベティ・ウェイがうつってた。

で、この番組、カンフーを題材にした内容のはずが、いきなりタイのムエタイネタになってしまう。どうやら、番組内容をカンフーから貧乏人が必死に夢をつかもうともがくネタに途中で変更してしまったみたい(笑)

ムエタイのチャンピオンを目指す少年の母親が「あの子さえチャンピオンになってくれれば、全てがうまくいくんです。」って言ってたけど、重荷すぎるだろ(汗)

未来のカンフースターを夢見る少年たちについて、ジャッキーは「若い人がカンフースターを目指すことには賛成できません。私のように成功するとは限らないので。」とコメント。・・・トップに登りつめたジャッキーから、なんとも現実的なコメントが(笑) 

あれだけ道場があって、カンフースターを目指す少年が大勢いたけど、その後、どうなったのかね?。あれからカンフーブームも終焉したわけで、結局、ケンカが強いだけが取り柄ってことで黒社会に行っちゃった人、多かったんじゃない?(爆)

武田さんの番組中のコメントがよくわからん。
ブルース・リーを紹介する時のコメント。「続いてはブルース・リーでございます。なんといってもブルース・リーという感じのするビッグスターだったと思います。」・・・なんだよ、このコメント(笑)

続いてこのコメント。「東洋人に生まれて一番いいなー!よかったなー!と思うことは、私の体に残っているアジア人の血は自然を通して私にいろんなことを語りかけてくれる、それを受ける術が私にまだ残っていることが幸せだと思うのであります。」・・・なんか、ムリヤリ東洋人限定にするの好きだな(笑)

この番組が放送されてから、かれこれ40年ちかくなるけど、武田さんがカンフーをやっている姿、 香港映画をアツく語ってる姿、この番組以外で見たことがない(笑)

この番組でもそうだったから思い出したけど、この当時って、やったらBGMに洋楽使ってる番組が多かった気がする。英会話できないような学校教育されてきたのに、いったいどれだけの人が歌詞の意味わかって聴いてたのだろうか?(笑)

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番組終了後、「次週は特別ロードショー「ドラゴン修行房」をお送りします。」と予告が流れた時は、 「うおーーー!!」状態(笑)。それも“特別”のロードショー(笑)。ジミーさんの作品がゴールデン!(笑)。 すばらしすぎる時代だったな。