空手ヘラクレス

おすすめランク C  

原題:碼頭大決鬥
出演:
チャーリー・チャン(陳恵敏)
ボロ・ヤン//ヤン・スエ(楊斯)  他
監督:チョイ・タク(蔡達)
1973年度作品

カンフー映画ファンにとって、幻と言われていた作品。日本でのブルース・リーからはじまったカンフー映画ブームの中、数多くの作品が劇場公開されたが、この作品もその1つである。未だに日本ではソフト化されていない。

長年、タイトルから勝手に想像して、とにかくものすごい作品にちがいない!と決めつけていた。が、観てみたら「うーん・・・。」だったな。

ストーリーは要約すると、主人公のチャーリーが昔、恋人の兄さんと喧嘩をして殺してしまったため、これから絶対に喧嘩をしないと誓い、自分の左手を石で打ち砕いて、拳法を使えないようにしてしまった。それから、数年、チャーリーは港の荷受人として働いていたが、“自分勝手に横暴を振舞う”悪者たちによって世話になった人、仲間が傷つき、殺されていくのを許せなくなり、怒り爆発、立ち向かう!っていう、いつものあれ(笑)

ちょっとイラついたのは、最後の最後までチャーリー・チャンが「やだやだ!闘いたくない!」と悪者にやられっぱなしだったこと。

で、ラスト、怒り爆発して、ボロ・ヤンとスーパーファイトを繰りひろげるかと思いきや、ファイト中、ボスが卑怯にも吸っていたタバコをチャーリーの眼に当て、非常に不利な状態にさせてしまう。で、チャーリーは高いところに逃げ、追ってきたボロ・ヤンを突き落とし、 ちょっと闘って、ボロ・ヤン死亡。その後のボスとのバトルもたいしたことなく、ボスが降参し、港に平和が戻り、チャーリーの笑顔で “THE END”。・・・満足できなかったなぁ。

ボロ・ヤンって、ばあさんが狭い路地裏歩いている時に、いきなり現れたら、心不全おこすか、尿モレおこすこと間違いなしってくらいのキャラなんだから、主役はもっと強いキャラにしてくれないとダメだろ。この作品でのチャーリー・チャンは、強いはずなんだけど、どう見ても「ボロ・ヤンが負けてやってる。」って感じだったな。劇場公開時のポスターなんかは、チャーリーよりもボロ・ヤンが主役のように扱われていた。

この作品では弱々しかったチャーリー・チャンは、70年、71年と中国国術大会でチャンピオンになっている人。 実生活では上半身に入れ墨を持つマジ黒社会の大物らしい。2013年に黒社会メンバーが広東省で大宴会を開催した際に、警官隊が突入して200人近い構成員を一斉検挙したんだけど、釈放された中にチャーリーの姿があったから、もう、”らしい”じゃないわな(笑)。2020年の全人代で、検察のトップが黒社会のメンバーらを去年1年間で、3万人余り起訴したと発表し、犯罪組織の摘発に力を入れる方針を示したから、チャーリーも戦々恐々だろうなぁ。