ファイアー・ドラゴン

おすすめランク 
原題:龍在江湖
出演:
ブランドン・リー(李國豪)
マイケル・ウォン(王敏德)
チャーリー・チャン(陳惠敏)
ジーナ・ケント(簡慧珍)
マン・ホイ(孟海)  他
監督:ロニー・ユー(于仁泰)
1986年度作品

『昼は解体工場、夜はバーで働くホウ(ブランドン・リー)は、恋人メイ(レジーナ・ケント)との結婚を控えていた。ホウの友人マイケル(マイケル・ウォン)は、父親が黒社会のボスで麻薬取引で財を成していた。また、マイケルはメイに恋心を寄せていたのだった。

ある日、麻薬課の悪徳刑事ガウ(ラム・チュン)から法外な金銭の要求があったため、マイケルは父と共にガウの殺害を計画する。その計画とは、ガウとの取引現場にマイケルが出向き、その場所に友人のホウを呼び出して、実際にはヒットマンがガウを殺害した罪をホウに被せてしまおうというものだった。

その計画は成功し、ホウは投獄される。刑期は8年。ホウが獄中にいる間、マイケルは執拗にメイに接近し、ついにはレイプに至るのだった。身の危険を感じたメイの救世主となったのは、バーでメイに付きまとっていた富豪のウォン(チュウ・ハック)。ウォンの説得でメイはウォンと共にブラジルへと逃れるのだった。

ある日、面会にやってきたバーのマネージャー(テディー・イップ)から、マイケルが企てた真相を知り、怒りに震えるホウ。刑期を終え、ホウが働き始めたガソリンスタンドに1台の高級車が。そこにはマイケルの姿があった・・・。』

バーにショバ代目当てでボロ・ヤン(楊斯)らがやってくるシーン。もう、ボロ・ヤン系が来店した時点で店員の胃がピリッとするのは想像できる(笑)。

ブランドンが相手を指さす仕草は、父親のマネをさせられてるよな。父親の存在が大きいし、周りの期待も大きくて、↑の予告編でも”巨星的誕生”って書かれちゃってるし、荷が重すぎ。

悪徳刑事役でカーク・ウォン(黃志強)の登場は、この人らしい役どころ(笑)。

刑務所内の西洋囚人とのバトルは、ここだけハリウッドB級アクションみたいになっちゃってて不要だったな。

メイに付きまとっていた富豪の爺さんがまさか、メイの救世主になるとはね。いきなり、「ブラジルに行こう。」ってのはぶっ飛んでた(笑)。

バーのマネージャーがホウに「友達運がなかったんだ」って言うセリフは、「そんな運があるんだ・・・。」と思った。現在、あなたが望んでない境遇にいるとしたら、マイケルのような人間が過去、あなたに謀った結果だったりして・・・(コワー!)。

ホウが出所してからのストーリー展開が雑になった気がしたな。

真相を知ってから、まだ数年、刑期が残っていたんだから、綿密にマイケルを地獄に落とす計画ができたはずなのに。例えば、刑務所内で知り合ったマイケルに敵対する黒社会人(笑)と義兄弟になってあれこれ画策し、マイケルを窮地に陥れるとか。

ホウが脱走に失敗した時、クー・フェン(谷峰)演じる刑務官に「事情は全部わかっている。今、脱走してマイケルを殺せば元も子もない。」って言われてたのに、結局は、出所後に派手にマイケルを殺しに行って、元も子もないことしてるのが、どうもね。

バーのマネージャーに、「ホウの面倒はみる。」と言っていたクー・フェン刑務官が、それから登場しなくなっちゃうけど、ホウの置かれた事情をわかっていたのなら、マイケル逮捕のために警察サイドに働きかけをしてくれたらよかったのに。

ブラジルからメイたちが一時帰国した際、ホテルのフロントにマイケルがいるのを見つけたメイが、急いでエレベーターに乗り込み降りたら、椅子に座ってマイケルが待ってるっていうシーンもなんなのよ。どこでもドアでもなきゃ、そんな芸当できんでしょ(笑)。

刑務所内で仲良くなったマン・ホイとの友情をもう少し描いてほしかった。ラストに参戦する動機が薄いんだよね。あの程度の友人関係で死ぬ確率大のことなんて、普通、しないでしょ。

クライマックスの銃撃戦。連れ去られたメイと息子の救出が最優先なわけで、敵がどこから撃ってくるかわからんのだから、2人とも慎重に攻めないと。隠れもしないで、2人で会話してる最中にマン・ホイが撃たれるシーンは「そりゃ、撃たれるだろ!」ってツッコミしたし。

マイケルと死闘を繰り広げるかと思いきや、あっけなかったな。大ピンチになったホウに強力な助っ人でクー・フェン刑務官が登場してショウブラ時代を彷彿とさせるクンフーアクションを繰り広げたら盛り上がったかも(笑)。

「ファイアー・ドラゴン」って、まあ、なんと安直な邦題(汗)。ボクなら英題から「ブランドン・リー 怒りのレガシー」かな。

 

 

過ぎゆく時の中で

おすすめランク 

原題:阿郎的故事
出演:
チョウ・ユンファ(周潤發)
シルヴィア・チャン(張艾嘉)
ウォン・コンユン(黄坤玄)
ン・マンタ(吳孟達)  他
監督: ジョニー・トー(杜琪峯)
1989年度作品

いやあ、久しぶりに観たけど、やっぱり終盤で涙ぽろぽろしてしまったなぁ。初めて観た時なんて号泣したっけ。

『アロン(チョウ・ユンファ)は、かつて、バイクのレーサーだったが、ケガをして以来、建設現場で働きながら、息子のポーキー(ウォン・コンユン)と2人で、貧しいながらも楽しい生活を送っていた。ある日、CMの子役募集を知ったアロンの友人、ガウロン(ン・マンタ)が、ポーキーをオーディションに応募すると、見事、合格する。親の承諾が必要だと知ったアロンが、CMのプロデューサーに会いに行くと、そのプロデューサーは10年前に行方知らずになった恋人、シルヴィア(シルヴィア・チャン)だった。

10年前。アロンとシルヴィアはつき合い、シルヴィアは妊娠していたが、当時のアロンは女癖が悪く、シルヴィアとは喧嘩の日々だった。シルヴィアは、アロンとの結婚を母親に頑なに反対され、さらには産んだ子供が死産だったため、アロンに別れを告げることもなく、アメリカに旅立ったのだった。

ひさしぶりに再会したアロンとシルヴィア。シルヴィアはポーキーが誰の子なのか尋ねる。すると、アロンと結婚させないため、母親が死産だとシルヴィアに嘘をついていた事実を知るのだった。

ポーキーは突然の母親の出現にとまどうが、だんだんと家族3人で暮らすことを夢見るようになる。アロンはシルヴィアとよりを戻そうと模索するが、シルヴィアにはすでにアロンへの愛はなかった。そして、アメリカにポーキーを連れて行きたいとアロンに告げるのだった。ポーキーがシルヴィアと一緒に楽しむ姿を見たアロンは、アメリカに行った方が幸せな生活を送ることができると思い、親子喧嘩の末、ポーキーを家から追い出してしまうのだった・・・。』

しょっぱなのアロンとポーキーの起床から身支度、バイクでの通勤通学シーンで、2人の取り巻く状況や父子愛がうまく表現されてたな。

2人が弁当を食べるシーン。ポーキーが口に含んだコーラをアロンに吹きかけるところは、少年時代、こういうことができちゃう父子関係を羨ましく思ったなぁ。

ポーキーが初めてシルヴィアの滞在するホテルで朝食を食べるシーン。ハムエッグの食べ方がかわいらしい(笑)。長年、アロンに注意されることもなかったんだろうな。アロンも同じ食べ方だったり!?(笑)。

シルヴィアとフランス料理店に来たポーキーから、アロンが電話で誘われるシーン。アロンが店にやってきて、シルヴィアが席を外している間に、注文することになるのだが、メニューを読めないアロンは、ポーキーと同じものを注文。出てきた料理がお子様セット(笑)。しっかし、意地悪な店員だな(笑)。

ン・マンタ演じるガウロンの女関係が気になる(笑)。台湾の女もタイの女もセリフは食事の誘いのみで、結局、ガウロンは金をパクられトンズラされ、アロンに「毎回だな。」って言われてる(笑)。

シルヴィアの母親はひどいことしてくれたよな~。いくら結婚に反対でも、死産って嘘つくのはあんまり。こういう親ほど「あなたのためを思って」とか言い出して、結果的に子供を不幸にしておきながら、決して自分が悪いことをしたなんて思わないからなぁ。シルヴィアとポーキーの失った年月は大きい。

高級料理食べさせたり、高いモノをたくさん買い与えたりして、ポーキーとのブランクをシルヴィアはなんとか埋めようとしてたけど、幼少期の親子の絆を深めるべき時間を他で埋め合わせるのはなかなか困難なんだよね。

なんといってもポーキー役のウォン・コンユンの演技が素晴らしかった。アロンと離れた後、ホテルからアロンに涙声で「すごく会いたいよ。」と電話をかけるシーンは特筆。

ラストがあんな展開になってしまったから、ポーキーの行く末が心配。シルヴィアとアメリカに行くことになるだろうし、シルヴィアが付き合ってた男性と結婚なんてことになったら、それこそポーキーの望んでない事態になるわけで。グレるの必至!?(爆)

本作はユンファとシルヴィアが共同で原案を執筆した。ユンファは3度目の香港電影金像奨主演男優賞を本作で獲得している。

公開時、香港中の女性客が涙したと言われるほど大ヒットした。製作されてから30年以上経ってるから、感動モノを観まくってる方には、”ベタな展開”と言われそうだけど、ボクはおすすめいたします!

↓サミュエルが歌う主題歌「阿郎戀曲」。